★YMOのサンフランシスコ・ライブを観て [⇒YMO]

10月2日にWOWOWで放送されたYMOのサンフランシスコ公演を観た。

YMO(2011).jpg

正直、再活動以降のYMOを熱心にフォローしている訳ではないので、ここ最近の彼らのライブとの違いというのは分からないのだが、結論から言うと、近年のライブでは一番良かったように思った。

冒頭、いきなり「Firecracker」からスタートしたのにはビックリ。その曲で細野さんは生でシロフォンを演奏していたのも意外だった。これってマーティン・デニーへのトリビュートかな、と勝手に想像したり。

中でも、「Seoul Music」や「Taiso」といった中期の曲がセットリストに組まれていた事が興味深い。1980年を最後にアメリカでは演奏をしなかった彼らが、その穴を埋めるためにチョイスしたのかどうかは分からないが、何ともサービス精神を感じされる選曲ではある。

しかも、それらの曲そのものが今のスタイルで演奏しても、あまり違和感がないという事が判明。つまり、今のYMOは中期のサウンドに一番近い、という事が証明された瞬間でもある。

演奏そのものも、結構充実していたと思う。かつてのアグレッシブさが無くなってしまった事は今更嘆いても仕方がないが、ゆるい演奏はゆるいなりに良かったのではないだろうか。自分がそのゆるさに慣れてきたという事もあるかもしれないが。

ただ、不満がないわけでもない。一つは細野さんのヴォーカルがヘロヘロだったこと。歌詞や歌いだしのタイミングを間違えている部分がいくつもあったり。

それと、日本人のサポート・ミュージシャンが覇気が無い。若い人たちなんだから、YMOの演奏をぶっ壊すくらいのアグレッシブさを見せて欲しい。「言われるとおりにやりました」的な演奏をされても面白くもなんとも無い。

そもそも、YMOはサポート・ミュージシャンに徹底的に細かい指示を出すような事はしないはず。だからこそ、のびのびと暴れまわってほしいのに。草食系だから?その点、クリスチャン・フェネスは良いサポートをしていると思う。

しかし、全編生ドラムを叩くスタイルになってしまった幸宏さんは大変だな。まさか、還暦近くになって2時間弱ドラムを叩く羽目になるとは(笑)。

今YMOが活動した所で、世界の音楽シーンに大きな影響を与える事があるとは思えないが、本人達がやりたいのなら、まぁ楽しくやっていただきたい。お体にお気をつけて。


★「YMO/ビハインド・ザ・マスク」の謎 [⇒YMO]

◆Yellow Magic Orchestra/Behind The Mask(1979)
Solid_State_Survivor.jpg●Words:Chris Mosdell
●Music:Ryuichi Sakamoto

from the album "Solid State Survivor"









YMOの代表曲であり、マイケル・ジャクソンをはじめ、エリック・クラプトングレッグ・フィリンゲインズなど海外のミュージシャンにもカヴァーされた名曲「ビハインド・ザ・マスク」。

この曲にはファンには良く知られた一つの謎がある。

それは作曲者のクレジットなのだが、当初、アルバム「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」のオリジナル盤が出た時は、教授(坂本龍一)と共に高橋幸宏さんも共作として、名を連ねていた。

しかし、その後、ライブ盤などにこの曲が収録されたりした時に、そこに明記されたクレジットにはいつの間にか幸宏さんの名前は消えていた。理由は定かではない。

名前がクレジットされていた以上、幸宏さんはこの曲を制作時に何らかのアイデアを出していたはずである。

1993年に発売されたYMOのファン・ブック「ピリオド」には、この謎に対する幸宏さんの回答の言葉が載っている。その言葉とはこうだった。

「もう、いいんです」

◆Yellow Magic Orchestra / Behind The Mask (Live at Greek Theater, L.A.)


下手すると、名声欲や金銭欲が強いメンバーだったら、これだけで解散ものだが、YMOのメンバーはそもそもそういった欲が他に比べて少ない人たちだったから、それほど大事にはならなかったのであろう。

でも、気になる謎である。


ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー

ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックハウス
  • 発売日: 2003/01/22
  • メディア: CD



★YMO/HAPPY END(ウィンターライブ1981) [⇒YMO]

◆YMO/HAPPY END(Winter Live 1981 Version)
WinterLive_2.jpg●Music:Ryuichi Sakamoto














ファンとしてはスタートが遅かった自分が最初に見たYMOのコンサートは、1981年に行われた「ウィンターライブ」でした(場所は新宿コマ劇)。

今でも思い出す印象は「とにかく(明かり、照明が)暗い!」。実際には違うのですが、自分の思い出の中ではほぼ全編真っ暗な印象になっています。

開始から数曲演奏されても、緞帳(どんちょう)は半分までしか開かず、緞帳が開ききってもそこにはまだ薄い幕があるという、とにかく観客を突き放した演出は衝撃的でした。

MCは当然のことながら無く、YMOのステージのある意味シンボルだった沢山の機材も隠され、薄暗い照明の中に時々灯る小さな明かり・・・。その中で淡々と演奏される陰鬱な曲。そりゃ、中学生の体(心)には良い影響を与えませんわな(笑)。

しかし、このライブは自分が生涯見た中でも最も好きなライブである、と断言できます。

そのライブは今もDVDで観ることが出来ますが、中でも個人的に気に入っている曲はアルバム「BGM」に収録されていた「HAPPY END」という曲です。

ただ、このライブ・ヴァージョンは「BGM」のヴァージョンよりも、教授(坂本龍一)のシングル「フロントライン」のB面に収録されたヴァージョンが元になっています。

元々アンビエント色が強かった曲にメロディーがつけられ、さらにノイジーな音も付け加えられたアグレッシブな演奏は何度聴いてもシビレます。

◆YMO/HAPPY END(Winter Live 1981)


暗闇の中で鳴り響く爆音は30年経った今も忘れることが出来ません。


ウィンターライブ’81 [DVD]

ウィンターライブ’81 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックレコーズ
  • メディア: DVD



★YMO/タイトゥン・アップ [⇒YMO]

◆Yellow Magic Orchestra/TIGHTEN UP~Japanese Gentlemen Stand Up Please(1980)
YMO_TightenUp.jpg●Words&Music:Billy Buttier, Archie Bell

from the album "X∞ Multiplise(増殖)"










サントリーの缶ビール「金麦」のCMシリーズで「それぞれの金麦」というのがありますが、そのCMで使われている曲を聴いて、「おっ!」と思った方は多いのではないでしょうか。

アメリカのR&Bヴォーカル・グループ、アーチー・ベル&ザ・ドレルズの曲「タイトゥン・アップ」です。1968年の曲なので、自分はリアルタイムで知りませんが、80年代の人間にとってはYMOのカヴァーで知っている人も多いと思います。もちろん、自分もその一人です。

この曲はYMOが2回目のワールド・ツアーでアメリカに行った際、「ソウル・トレイン」という番組に出演時に演奏(というか当て振り)した曲としても知られています。

YMOヴァージョンが収録されているアルバム「増殖」はスネークマン・ショーとのコラボレーションとしても有名ですが、シングル予定曲としてレコーディングされた「ナイス・エイジ(Nice Age)」以外はレコーディング時間が少なかったためか、YMOのアルバムとしては非常にライブ感覚があふれる演奏になっているのが特徴です。

この曲もYMOとしては珍しく、音数の少ないのが印象的です。

動画は「ソウル・トレイン」出演時のものです。

◆Yellow Magic Orchestra/Tighten Up (on US TV Show "Soul Train")1980


ちなみに、CMで使われているアーチー・ベル&ザ・ドレルズのオリジナル・ヴァージョンはこちら。

◆Archie Bell&The Drells/Tighten Up(1968)



増殖

増殖

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックハウス
  • 発売日: 2003/01/22
  • メディア: CD



タイトゥン・アップ

タイトゥン・アップ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2006/12/20
  • メディア: CD



★YMO/ファイアークラッカー [⇒YMO]

◆Yellow Magic Orchestra/Firecracker(1978)
●オリジナル・ヴァージョン
YMO(1).jpg●USヴァージョンYMO(2).jpg
●Music:Martin Denny

音楽を意識して聴くキッカケになった曲がYMOの「ファイアークラッカー」でした。

その頃(1980年後半)はYMOブームの真っ只中で、YMOに関心が無くても「テクノポリス」や「ライディーン」は嫌でも耳に入ってくる状況でした。

しかし、その2曲を聴いても取り立てて興味惹かれるものが無かったのに、「ファイアークラッカー」を耳にした途端、頭をハンマーで殴られた様な衝撃があったのは、この曲が細野さんのトロピカル路線の延長線上にあったという事が大きいと思います。

細野さんの音楽は当時から高い評価を受けていたと思いますが、どちらかというとマニアックな人たちの間での事で、普通に音楽を聴いていた一般の人や、まして子供などの耳に届くものではなかったと思います。

それがYMOブームをキッカケにローティーンにも聴くことが出来るようになったというのは、とても大きな出来事だったと思います。

この曲はマーティン・デニーのカヴァーですが、教授(坂本龍一)の見事なアレンジもあって、原曲には無いパートが数多くアダプトされています。当然、テンポもまったく違います。

◆Martin Denny/Firecracker


どっちが好きかというのは、人それぞれの好みもありますが、そもそもコンセプトがまるで違うので、比べるのはあまり意味が無いと思いますが、それでも、ここまでイメージをガラリと変える事が出来るのは日本のミュージシャンも当時は高い音楽性を持ち合わせていた証拠ではないでしょうか。

◆Yellow Magic Orchestra/Computer Game(Theme from The Circus)~Firecracker(US Version)


YMOがこの曲をカヴァーしアメリカでもヒットした事で、マーティン・デニーも大そう喜んでいたようで、本人からメンバーに直々にお礼が届いた、という話を細野さんがしていた事を覚えています。

そして、このYMOヴァージョンが後(2001年)に、ジェニファー・ロペスの曲「アイム・リアル(I'm Real)」にサンプリングされます。

◆Jennifer Lopez/I'm Real


イエロー・マジック・オーケストラ

イエロー・マジック・オーケストラ

  • アーティスト: YMO
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックハウス
  • 発売日: 2003/01/22
  • メディア: CD



イエロー・マジック・オーケストラ(US版)

イエロー・マジック・オーケストラ(US版)

  • アーティスト: YMO
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックハウス
  • 発売日: 2003/01/22
  • メディア: CD



★メンバーが選曲したYMOの新ベストが発売。でも、これって・・・ [⇒YMO]

今年の6月に31年ぶりにアメリカ・ロサンゼルスで開催されるコンサートに合わせて、YMOの新ベスト盤が発売されるという。

今回は、最終的にメンバー3人が収録曲を決定。アルファ時代の曲以外にも再生時やHASYMO名義の曲も収録。新リマスタリングが施され、日本版はBlu-Spec盤で発売されるそうです。

YMO.jpg

※最新音楽ニュース「ナタリー」・・・YMO、海外の若者に向けたメンバー選曲ベスト盤発売

YMOのベスト盤は細野さんが監修した「YMO GO HOME」、教授(坂本龍一)が監修した「UCYMO」、幸宏さんが監修したライブベスト「ONE MORE YMO」があり、メンバーが関わっていない物を含めるとかなりの数になります。

今回は海外の若者をターゲットにしているという事ですが、選曲を見て頭の中が?マークで一杯になってしまった。

収録曲は以下のとおり。

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1.ファイアークラッカー (from album「イエロー・マジック・オーケストラ(US版)」)
2.コズミック・サーフィン (from album「イエロー・マジック・オーケストラ(US版)」)
3.中国女 (from album「イエロー・マジック・オーケストラ(US版)」)
4.東風(from album「フェイカー・ホリック(London, Paris side)」)
5.デイ・トリッパー (from album「フェイカー・ホリック(New York side)」)
6.ビハインド・ザ・マスク (from album「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」)
7.ライディーン (from album「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」)
8.タイトゥン・アップ (from album「X∞ Multiplies/増殖」)
9. U.T.(from album「BGM」)
10.千のナイフ (from album「BGM」)
11.Mass (from album「BGM」)
12.カムフラ-ジュ (from album「BGM」)
13.灯 (from album「テクノデリック」)
14.後奏 (from album「テクノデリック」)
15. Key(from album「コンプリート・サーヴィス」)
16. Nanga Def? (from album「テクノドン」)
17. Tokyo Town Pages (from EP「The City Of Light / Tokyo Town Pages」*HASYMO名義)

■Track 4, 5は“散開”後に発表されたライヴアルバム「フェイカー・ホリック」からの収録。
■Track 15は“散開”後に発表されたライヴアルバム「コンプリート・サーヴィス」からの収録。

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教授いわく「NYで20歳前後の若者の意見を聞きながら、ベースとなる選曲案を作った」という事ですが、こういう風になるのかぁ。「CUE」も入ってないのね。レア音源も無いし(YMOのレア音源はもう出尽くした感がある)。1枚でYMOの魅力を伝えるのも無理がある。

まぁ、アメリカ人と日本人とは音楽的感覚が違うから、こういう選曲になったのかもしれないが、日本人には今さら必要ない気がする。故に、日本盤を発売する意味はない、というのが自分の感想。

新リマスタリングって言っても、一部のマニアしか食いつかないでしょうね。


YMO

YMO

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony Music Direct
  • 発売日: 2011/06/15
  • メディア: CD



★YMO / CUE [⇒YMO]

◆YMO / CUE (1981)
YMO_CUE.jpg●Words / Yukihiro Takahashi, Haruomi Hosono, Peter Barakan
●Music / Yukihiro Takahashi, Haruomi Hosono









YMOのアルバム「BGM」が作られてから、かれこれ30年も経ってしまったんですね。

自分にとっては音楽にのめり込み始めた頃に出会ったアルバムですので、
この作品からは感性の形成に大きな影響を受けています。

当時、自分は12歳でしたが、ハッキリ言って(良い意味で)子供が聴く音楽ではありません。
しかし、その時のYMOの人気もあって、この音楽を聴いてしまった子供達は、その後の人生を
大きく狂わされたといいます(自分も含めて)。

トータルのクオリティーは現在までで日本の音楽が到達することが出来た頂点である、
という事は今でも変わっていませんが、特にYMOの代表曲にもなった「CUE」は
日本人が作り出した音楽としても最高峰であると、自信を持って言う事が出来ます。

◆YMO / CUE (1982年、TVヴァージョン)


※Give me a cue
 I think I've nearly found you
 Give me a cue
 I can see clues all around me
 The sound of music
 The crying of the air

※Repeat

 The sound of music
 The echo of the earth

 I'm sick and tired of the same old chaos
 Must be a way to get out of this cul-de-sac

※Repeat

 The sound of music
 The sound of my own voice

この曲が完成したときに、細野さんと幸宏さんは嬉しさのあまり二人で記念写真を撮ったそうですね
(実はレコーディング・ヴァージョンには教授は参加していない)。

ちなみに、この曲の元ネタになったのはウルトラボックス(Ultravox)の「パッショネイト・リプライ(Passionate Reply)」という曲(シングル「ヴィエナ(Vienna)」のB面に収録)。改めて言うまでもない、有名な話ですが。

近年は三度結集したお三方のステージでも度々、演奏されているようです。

◆HASYMO / CUE


ここまで、シンプルに、余計な物をそぎ落として、曲を完成させるのは想像以上に難しいことは、
少しでも音楽制作に携わったことのある人ならお分かりになられるのではないでしょうか。

日本が世界と肩を並べることが出来た、記念すべき瞬間でもありました。


BGM

BGM

  • アーティスト: YMO
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックハウス
  • 発売日: 2003/01/22
  • メディア: CD



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